旅のガイドブックや観光地紹介サイトをみると、「〇〇峡谷の景観は非常に迫力がある」とか「□□渓谷は紅葉が美しい」などと書かれていることがありますよね。
ところで、峡谷と渓谷って一体何が違うのでしょうか。
どちらの「谷」のほうが深いのでしょうか?
この記事では、自然が作り出した2つの谷、峡谷と渓谷の違いについて調べてみました。
峡谷とは?
峡谷(きょうこく)とは「幅が狭く、両側が高く切り立った急な崖となっている谷」です。
峡谷は幅が狭いため、谷底に平らな部分があまりありません。
また、断面がV字型になっていることも多く、「V字谷」と呼ばれることもあるそうです。
ちなみに、谷壁はV字(斜め)ではなく垂直になっていることもあります。
日本の有名な峡谷としては、富山県の黒部峡谷などがあります。
そして地名に「峡谷」がついていなくても「峡」とあれば、峡谷と考えて良いでしょう(静岡県の天竜峡、北海道の層雲峡など)。
渓谷とは?
渓谷(けいこく)は「山に挟まれた川のあるところ。谷間。谷。」のことです。
峡谷に比べて浅く、谷底の平らな部分が比較的広いとされています。
渓谷は日本各地にたくさんありますが、こちらも名称に「渓」がついていれば、渓谷と考えて良いでしょう(愛知県の香嵐渓、北海道の定山渓など)。
峡谷と渓谷の違い
峡谷は「幅に対して谷底までの深さが深い谷」で、谷底部分に平坦なエリアがあまりないのが特徴です。
一方で渓谷は「山に挟まれた川のある谷」で、峡谷に比べて深さはありませんが、谷底に平坦なエリアが比較的広くあります。
ただし、峡谷と渓谷には幅や深さに関する明確な定義がありません。
ちなみに、日本の峡谷・渓谷は比較的幅の狭いものが多いですが、海外の峡谷・渓谷は谷の幅も深さも日本とは桁違いのスケールのものも少なくありません。
例えば、世界で最も深い谷として知られるペルーのコルカ渓谷は、深さが3200メートルもあるといわれています。
3200メートルというと日本アルプスの山々がほとんど入ってしまうくらいの深さなので、スケールの大きさに圧倒されてしまいますね。
ちなみに、日本で最も深い渓谷は黒部渓谷で、最も深い部分は約2000メートルといわれています。
まとめ
- 峡谷は、幅が狭くて両側が切り立った崖になっている谷。谷底に平坦な部分があまりない。
- 渓谷は、山に挟まれた川のある谷。谷底に平坦な部分が比較的ある。
峡谷と渓谷は深さや幅に関する定義がないため、その区分は曖昧です。
国内の地名では、「峡」や「渓」という文字が入っているかどうかである程度判断できますが、それ以外の場所では谷底の平地部分の広さで判断するしかなさそうです。
どうにも困ったら、とりあえず「谷」でごまかしましょう。