同じような意味合いで使われることが多い「引きこもり」と「ニート」。
実は、両者には明確な定義があって、さまざまな面において異なるものであることをご存じでしょうか。
この記事では、似ているようで違う、しかし共通点も多い「引きこもり」と「ニート」の違いについてまとめました。
引きこもりとは?
「引きこもり」とは、
仕事や学校にゆかず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6ヶ月以上続けて自宅に引きこもっている状態
引用:厚生労働省
のことです。
重要なのは「人との交流」という点で、ちょっとした買い物でコンビニなどに出かけることができても、人との交流が認められなければ「引きこもり」ということになります。
他方、自宅に引きこもっていても、何らかの手段で積極的に社会参加をしている場合には、「引きこもり」にあたりません。
ニートとは?
ニートの語源は「Not in Education、Employment or Training」で、直訳すると「就学・就職・職業訓練のいずれもしていない人」ということになります。
イギリスでできた言葉で、「支援が必要な人たち」という意味で使われ始めたそうです。
そして、日本の厚生労働省では、
15~34歳で、非労働力人口のうち家事も通学もしていない人たち
引用:厚生労働省
を「ニート」と定義しています。
ちなみに、「求職活動をしていて、決まったらすぐにでも働ける人」は、上記定義の非労働力人口にはあたらないので、「ニート」ではないそうです。
つまり、ニートとは「15~34歳で、主婦や学生以外で、家事手伝いもしておらず、働く意欲がまったくない人」のことといえます。
引きこもりとニートの違い
「引きこもり」とは、半年以上自宅に引きこもり、積極的な社会参加をしていない人のことです。
引きこもりでポイントとなるのは、引きこもることではなく、社会参加の有無です。
年齢にかかわらず、行動や人との交流が非常に狭い範囲に限られ、それが長期に及ぶのが「引きこもり」です。
「ニート」は、15~34歳の若年者で、学生や主婦など以外でまったく働く意思がない人のことです。
そして、ニートでポイントとなるのは、年齢と働く意思の有無です。
行動範囲が広く、人との交流が盛んでも、働く意思がなければニートです。
また、年齢が35~44歳の場合はニートではなく「中年無業者」と呼ばれるそうです。
引きこもりとニートは同じものではありませんが、家族以外とほとんど接触しないニートは引きこもりでもあります。
実際、ニートの約半数が引きこもり状態であるともいわれています。
このような状況から、ニートと引きこもりは混同されることが多いと考えられます。
まとめ
- 引きこもりは、半年以上自宅に引きこもって、積極的な社会参加をしないこと。
- ニートは、15~34歳の若者のうち、学生や主婦など以外で働く意思がない人のこと。
「引きこもり」も「ニート」も、きっかけはさまざまであり、だれもが引きこもりやニートになる可能性があります。
本人を責めたり、家族が本人の存在を隠したりすることは、状況を悪化させる可能性はあっても、解決には何の役にも立ちません。
家族だけで解決が難しいと感じた場合は、専門家の手を借りるのも一つの方法です。
「できないこと」を探すのではなく、「できること・嫌ではないこと」を見つけて、解決の糸口を探りましょう。