台風シーズンになると、天気予報で「温帯低気圧」「熱帯低気圧」という言葉をよく聞くようになります。
どちらも低気圧なので「天気が悪くなるのだろう」くらいの予想はつきますが、何がどう違うのかあまり意識したことがない、という人も多いと思います。
そこでこの記事では、「温帯低気圧」と「熱帯低気圧」の違いをわかりやすく解説します。
温帯低気圧とは?
「温帯低気圧」とは、北の冷たい空気と南の温かい空気が混ざり合い、渦を巻くことで発生する低気圧です。
温帯低気圧が生まれるのは、冷たい空気と温かい空気が両存する温帯(中緯度~高緯度)地域。
そして、2種類の空気の境界は「前線」と呼ばれます。
なお、日本で単に「低気圧」という場合、たいてい温帯低気圧を指します。
熱帯低気圧とは?
「熱帯低気圧」とは、熱帯の海上で発生する低気圧で、最大風速が17.2m/秒未満のものをいいます。
ちなみに、最大風速が17.2m/秒以上のものは台風です。
熱帯低気圧が生まれるのは、海水温が26~27度以上の海上です。
地上で発生することはありません。
もっとも、赤道付近で発生することは少なく、北緯5度~25度の地域で発生することが多いそうです。
熱帯低気圧は暖かい空気のみで構成されるため、前線は伴いません。
しかし北上して冷たい空気が入り込むと、温帯低気圧に変わります。
温帯低気圧と熱帯低気圧の違い
温帯低気圧と熱帯低気圧の違いを表で見くらべてみましょう。
温帯低気圧 | 熱帯低気圧 | |
最大風速 | 定義なし | 17.2m/秒未満 |
低気圧を構成する空気 | 冷たい空気と温かい空気 | 暖かい空気のみ |
前線 | 伴うことがある | 伴わない |
発生するエリア | 温帯地域 | 熱帯地域の海上 |
ここで注目したいのが、最大風速です。
熱帯低気圧は17.2m/秒未満と定められていますが、温帯低気圧は定義がありません。
そのため、場合によっては台風以上の猛烈な低気圧になるおそれがあるのです。
実際、台風が温帯低気圧になった後さらに発達することもあるので、油断は禁物です。
まとめ
- 温帯低気圧は、冷たい空気と温かい空気が混ざり合って渦を巻くことで発生する低気圧。前線を伴うことがある。台風より弱いとは限らない。
- 熱帯低気圧は、熱帯地域で発生する低気圧。前線は伴わない。風速は17.2m/秒未満。台風よりも風は弱い。
台風は熱帯低気圧が発達したものなので、熱帯低気圧のほうが温帯低気圧よりも大きな被害をもたらすようなイメージがありますが、必ずしもそうではありません。
最近は想像を絶するような大雨を降らせる温帯低気圧や前線も多いので、「低気圧」と聞いたらとりあえず雨風に対する備えを万全にしましょう。