インコにおやつ、と聞くと「え、鳥におやつなんて必要なの?」と思う方もいるでしょう。
でも「おやつ」=「インコを甘やかす贅沢品」ではありません。
主食では採れない栄養素を補う補助食品と考えてみてください。
そうすれば「与えたほうがいいもの」と思えるのではないでしょうか。
この記事ではインコにおすすめのおやつと与える時の注意点についてご紹介していきます。
目次
インコにおやつは必要?
インコにとって「おやつ」は主食では補えない栄養素を与えるためには必要なものです。
主食をシード食(ナッツ類・種子類やドライフルーツを組み合わせた食事)としているインコの場合は、ビタミン類の補給のためにも是非おやつをあげてください。
インコにとって必要な栄養素をきちんと配合しているペレットを主食として与えている場合でも、「食べる楽しみ」を提供するためにおやつは必要です。
普段からインコの大好きなおやつを把握しておくと、換羽期で体力が落ちたりして食欲のないときにも便利です。
「これならちょっと食べようか」という気持ちになることで食欲回復のきっかけにすることができます。
家族の中でお父さんだけがインコに攻撃されやすい、などの場合にはインコとお父さんの関係改善にも使えます。
「大好きなおやつはいつもお父さんがくれる」とすれば、「お父さんとも仲良くしようかな」とインコが考え始めるようになるからです。
おしゃべりやちょっとした芸を教えるなど、トレーニングの際にはご褒美として使うこともできます。
インコの主食をシード食からペレット食へと切り替えたい場合にもおやつはお助けアイテムになります。
おやつと食べてもらいたいペレットを混ぜて与えることで、インコが負担を感じることなくペレットを食べたりすることがあるからです。
インコにおすすめのおやつ
おやつが必要なものだとわかったところで、インコのおやつにおすすめの食材をあげてみましょう。
- 小松菜・豆苗・ブロッコリー・ケール・青梗菜などの葉物野菜
- パプリカ・人参・さつまいも・じゃがいも・かぼちゃ・グリンピース・ビーツ
- みかんやオレンジ・りんご・キウイフルーツ・桃・柿・ブドウ・バナナ・メロン・マンゴー・パパイヤ・イチゴなど果物
- アーモンド・くるみ・松の実・カシューナッツ・ブラジルナッツなど木の実
- 大豆・枝豆・ひよこ豆など豆類
- 牛乳・ヨーグルト・チーズ
- 鶏肉
- 卵
普段の買い物で手にする食材が多いことがわかっていただけると思います。
もちろん自分の家族には食べさせたくないような品質のものは、インコにとっても食べて安全ではありませんから与えてはいけません。
おやつとして与えてはいけないものも
野菜や果物の中にはインコに与えてはいけないものもあります。
詳しくは以下の記事にまとめているので、チェックしてくださいね。
また、人間用に味を付けたものは塩分・糖分が強すぎたりしてインコにはよくありませんから与えないでください。
調理のついでにインコ用にも用意する場合は味付け前に取り分けるなどしましょう。
加熱調理するものは十分に冷ましてから与えます。
果物を与える時には種をきちんと取り除くことを忘れずに。
種子にはインコの身体にとってよくない成分が含まれていることがあるので、間違って食べないように気を付けてあげましょう。
人間が果物や野菜を食べる時にちょっとインコにおすそ分け、というときに注意してほしいことがあります。
インコにとって危険・有害な食材とは絶対に接触しないようにすることです。
例えばアボカドやチョコレートなどインコにとって絶対に与えてはいけない、とされる食材を用意したまな板や包丁を使ってオレンジやリンゴを切ったり、ということがあってはいけません。
インコに与えるものを用意するときには手を洗う・道具も洗うなど徹底してください。
家族でインコを可愛がっている場合は家族全員がこのルールを守りましょう。
その他、インコに乳製品を与えることについては賛否両論があります。
消化できなくてお腹を壊す元になる、とも言われていますが、平気な個体も多いです。
初めて与えるときにはほんの少しの量から、そして食べた後の糞の様子などチェックしましょう。
鶏肉や卵などについても同様です。
果物や野菜・種やナッツを好むと思われているインコでも動物性たんぱく質を喜んで食べる個体も多くいます。
通常のおやつというよりは換羽期など体力をつけさせたいときに便利な食材です。
与える場合には完全に火を通してから与えます。
動物性たんぱく質の食材は中型以上のサイズのインコに好まれることが多いです。
この他、シードやペレットなどを販売する会社の中には「鳥のおやつ」として特別に形や素材を工夫した商品を販売しているところも多くあります。
いつもの主食を購入するとき一緒に買えば簡単です。
このようなおやつを使う場合でも新鮮な野菜や果物は与えてください。
「食べる喜び」という考え方からすれば、自然の食べ物がやっぱり一番いいものだからです。
迷ったら与えない
おやつに適しているとされる食材でも一方では与えないほうがいい、とされることもあります。
アボカドやチョコレートのような「絶対にダメ」な食材は問題外ですが、賛否両論あるものについて、与える・与えないは「飼い主の判断」になります。
「迷うくらいなら与えない」と考えても構いません。
飼い主さんが自信を持って与えられる食材からいろいろ選んであげてください。
おやつの探し方
与えるおやつのバリエーションの探し方として、ネットで「鳥のおやつ」などキーワードを検索すればいろいろなものを見つけることができます。
手作りおやつのアイデアを紹介する本などもすぐに見つかります。
普段から料理をしたりお菓子を作る飼い主さんなら愛鳥のためだけの特別なおやつを作ることも可能です。
手作りはハードルが高いな、と思う人でも「混ぜて焼くだけ」といった簡単手作りおやつ商品もたくさんありますからお試ししてみましょう。
手作りする場合、テフロン加工した焼き型やフライパンは使わないでください。
そのような調理器具は熱せされると微量のガスが発生します。
人間には影響がありませんが、身体が小さく呼吸器系統が敏感なインコには命に係わる危険となるからです。
オーブンシートにそのまま広げたり、ドロップクッキーのように丸めたりすればOKです。
全てのインコに当てはまるわけではない
残念ながらここに挙げた食材すべてがインコに受け入れられるわけではありません。
やっぱり好き嫌いはあって、小松菜は食べるけど豆苗は食いつきが悪いとか、オレンジ大好きだけど他の果物はそれほど熱心に食べないということもあります。
色や香り、見た目が苦手・食感が嫌・味そのものが嫌いなど人間の子供と同じような反応が出てくるでしょう。
そんな時でも「せっかく用意したのに」とがっかりすることはありません。
これは嫌いなんだね、じゃあ次はこれを試してみようという具合に気持ちを切り替えていきましょう。
飼い主さんは気まぐれな恋人に付き合うつもりでどんと構えていて欲しいものです。
ちなみにあなたのインコが食べなかった市販のおやつがたくさん余ってしまったら、友達でインコと暮らしている人にもらってもらう・野鳥に食べてもらうなどしましょう。
普通の食材なら飼い主さん自身が頑張って食べ切ってください。
インコへのおやつの与え方
先ほども少し増えましたが、インコのおやつの当て方についてご紹介していきます。
おやつを与えるタイミング
おやつを与えるタイミングは新鮮な食材を与える・市販のおやつを与える、どちらの場合も「お世話のタイミングに合わせる」ことが基本になります。
特に「おやつの時間」を決める必要はありません。
インコの食事は毎日新しいものを与えることが必要ですから、主食を取り換えるタイミングでおやつも補給します。
この時のおやつは「副食」として与えるものです。
果物や野菜などを与えた場合は、食べている・いないに関らず与えてから丸1日経過したものは取り除きましょう。
長くそのままにしているとインコが傷んでしまっているものを食べてしまうかもしれませんし、臭いの元にもなります。
放鳥時にちょっとお腹が空いたインコのために与えるものは「おやつ」となります。
インコが満足しておやつから離れたら処分しましょう。
出したままにしておくと容器をうっかりひっくり返したりするアクシデントの原因になります。
トレーニングをする場合はご褒美としておやつを与えるということもできます。
主食とは別の容器で与える
おやつは主食とは別の容器で与えましょう。
新鮮な食材を与える場合、水分で主食のシードやペレットがふやけたりすることを防ぐことができます。
市販のおやつの場合でも、ケージの中をあちこち移動しながら(食べ物を探しながら)食べるという楽しみになります。
ちょっと特別なおやつの与え方としては「フォージング・トイの中に入れる」と言う方法があります。
フォージング・トイとはインコがケージの中でも退屈しないように食餌行動(野生での生活と同じように食べ物を探す行動)をさせるおもちゃです。
毎日チェックしてインコがおもちゃからおやつを取り出して食べていれば追加・食べ残していれば交換しましょう。
日替わりで複数のものを混ぜて与える
おやつはいつも同じものを与えるのではなく、日替わりで複数のものを少しずつ混ぜこぜにしてあげるのが理想的です。
インコが「今日のおやつは何かな、何から食べようかな」と楽しむことができますし、同じものばかりを食べて栄養の偏りが起こることを防ぐこともできるからです。
新鮮な食材をおやつとして与えると、ケージが汚れやすくなり糞が臭うということも多くなります。
ケージや食器の清掃や洗浄はきちんと行ってください。
おやつで食べる楽しみを与えよう
- おやつは主食では採れない栄養素を補うためにも必要なもの
- おやつは体調不良の時に食欲を回復するきっかけとしても使える
- 新鮮な果物や野菜はおやつとしておすすめ
- 人間が口にしないような品質のものはインコにも与えない
- 食材の中にはインコにとって有害なものもあるので与える前にはきちんと安全確認することが必須
- インコに与えてはいけない食べ物とおやつとして与えるものが混ざったりしないようにすること
- おやつは新鮮な食材と市販品を組み合わせたりしてバリエーション豊かにそろえるのが理想的
- 「インコに与えることについて賛否両論がある」食材について、与えるかどうかは飼い主の判断
- 副食としてのおやつは主食を追加・交換するときに同じように追加・交換する
- おやつはトレーニング中のご褒美・フォージングトイの中に入れるなどして与えてもOK
手乗りとして育てられていても、大抵のインコは一日の大半をケージの中で過ごすことになります。
愛鳥の生活を充実させるためにも「食べる楽しみ」としておやつをいろいろ揃えてあげてください。