海や河川には多種多様な哺乳類がいますが、なじみが薄いために見分けがつきにくいものもあります。
なかでもジュゴンとマナティはそっくりで、「何がどう違うかわからない」と感じている人も多いのではないでしょうか。
しかし、ジュゴンとマナティには意外にはっきりとした違いがあるのです。
見た目も大きく違うので、わかってしまえばすぐに見分けがつくようになります。
そこでこの記事では、そっくりだけど全然違うジュゴンとマナティの違いに迫ってみました。
ジュゴンとは?
ジュゴンは、ジュゴン目ジュゴン科の哺乳類です。
種類は1種類しかありません。
温暖な海水域に住み、日本では沖縄で確認されたことがあるそうです。
エサのこだわりが強く、食べるのは海草のみ。ほかのものは食べないので、世界で一番エサ代がかかる動物ともいわれています。
外見で特徴的なのは、イルカのように三角形になっている尾びれです。
その他の外見上の特徴は、以下のとおりです。
- 海底に生えている海草を食べるので、口は下向き。
- 爪はない。
- ひれが短く、肘もない。
- 皮膚はなめらか。
- 牙があるが、歯肉に埋もれているためほとんど目立たない。
マナティとは?
マナティは、ジュゴン目マナティ科の哺乳類です。
種類はアメリカマナティ・アマゾンマナティ・アフリカマナティの3種類。
温暖な気候を好むのはジュゴンと同じですが、マナティは海水域ではなく汽水域(海水と淡水が混ざっているエリア)に住んでいます。
エサはおもに水草です。
キャベツやレタス、ニンジンなども食べるため、ジュゴンほどエサ代はかからないようです。
マナティの尾びれは、ジュゴンとは異なり丸みを帯びていてうちわのようです。
その他の外見上の特徴は、以下のとおりです。
- 海面に浮く水草を食べるので、ジュゴンほど口は下を向いていない。
- ひれに爪がある。
- ひれが長めで、肘がある。
- 皮膚はザラザラ。コケが生えていたりフジツボが付着していたりすることもある。
- 牙はない。
ジュゴンとマナティの違い・人魚のモデルは?
それでは、ジュゴンとマナティの見た目の違いを表で比べてみましょう。
ジュゴン | マナティ | |
尾びれ | 三角形 | うちわのような形 |
口の向き | かなり下向き | それほど下向きではない |
爪 | ない | ある |
ひれ | 短め | 長め |
肘 | ない | ある |
皮膚 | なめらか | ザラザラ |
牙 | ある(ほとんどわからない) | ない |
体長 | 2.4~3.0mくらい | 3.0~4.5mくらい |
体重 | 250~400kgくらい | 300~1,000kgくらい |
ジュゴンとマナティを同時に見る機会はほとんどないので体長や体重の比較はしづらいですが、マナティのほうが大きめです。
ではジュゴンとマナティ、どちらが人魚のモデルなのでしょうか。
答えは「両方とも」です。
生息域が分かれているため、東洋ではジュゴン、西洋ではマナティがモデルになったといわれています。
まとめ
- ジュゴンは、ジュゴン目ジュゴン科の哺乳類。尾びれが三角形。東洋の人魚のモデル。
- マナティは、ジュゴン目マナティ科の哺乳類。尾びれが丸い。西洋の人魚のモデル。
どちらも可愛いですが、あのずんぐりとした体形からアニメに出てくるような人魚を想像するのはちょっと難しいように思います。
昔の人が想像した「人魚」は、もっとぽっちゃりしていたのかもしれませんね。