日本語には、リズムの良い5音・7音で構成される詩歌があります。
基本は「5・7・5・7・7」あるいは「5・7・5」ですが、「短歌はどれ?」「俳句と川柳の違いは?」と聞かれると、即答できない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、教養として知っておきたい和歌・短歌・俳句・川柳の違いについてまとめました。
和歌とは?
「和歌」は、日本でもっとも古い歌の形態とされています。
一説によると、神話時代からあったようです。
5音と7音を組み合わせるのが特徴で、以下のような種類があります。
- 5音と7音を3回以上繰り返し、最後に反歌が添えられる長歌
- 5・7・5・7・7で構成される短歌
- 5・7・7・5・7・7で構成される旋頭歌
- 5・7・5・7・7・7で構成される仏足石歌
など。
もっとも、平安時代以降は短歌が和歌として定着していきます。
明治時代以降になると、正岡子規などにより新しいタイプの短歌が生み出されましたが、これらは「和歌」とは呼ばず、「近代短歌」として区別されています。
短歌とは?
「短歌」は、前述のように和歌の一種です。
5・7・5・7・7の31音で構成されるため、「三十一文字(みそひともじ)」とも呼ばれます。
短歌では、掛詞や枕詞など言葉遊びの要素が多いのも特徴です。
最初の5・7・5を「上の句」、後ろの7・7を「下の句」と呼び、数え方は一首・二首です。
百人一首を思い浮かべると、わかりやすいですね。
俳句とは?
「俳句」は、「俳諧の句」の略です。
室町時代に確立され、江戸時代に広く知られるようになりました。
5・7・5で構成され、数え方は一句・二句です。
俳句では、季語や独特の技法(切れ字)が使われ、情景に込められた思いや感動を伝えるのが特徴です。
ちなみに切れ字とは、俳句で用いられる「や」「かな」「けり」といった言葉です。
切れ字が使われている有名な句としては、松尾芭蕉の「古池や 蛙飛び込む 水の音」があります。
川柳とは?
「川柳」も、5・7・5で構成されますが、俳句とは異なり季語は必要ありません。
テーマは自由ですが風刺や世相などを読み込むことが多く、口語で表現するのが大きな特徴です。
川柳が誕生したのは江戸時代で、代表的な川柳の作者である「柄井川柳(からいせんりゅう)」の名に由来します。
川柳はカジュアルで難しいルールがないため、多くの人に愛されています。
毎年発表される「サラリーマン川柳」は、その代表的なものといえるでしょう。
和歌・短歌・俳句・川柳の違い
和歌は、かつてはさまざまな種類がありましたが、現在では短歌と同じ意味で使われる場合がほとんどです。
和歌・短歌は、5・7・5・7・7で構成され、代表的なものとして百人一首があります。
掛詞や枕詞を使うのは、和歌・短歌です。
俳句は5・7・5で構成されますが、季語を用いなければならないというルールがあります。
わずか3句で情景や感動を表現するため、技術的に難しい詩歌といえます。
川柳も5・7・5で構成されますが、細かなルールはなく、テーマも表現方法も自由です。
こちらは、素人でも気軽に作ることができます。
歴史をみると、和歌として生き残ったのが短歌といえます。
やがて俳句が生まれ、俳句から派生して川柳が登場したという流れになります。
まとめ
- 和歌は、日本に古くから伝わる詩歌。現代では短歌と同義。
- 短歌は和歌の一種。5・7・5・7・7で構成される。枕詞や掛詞を使うことがある。
- 俳句は、5・7・5で構成される。季語は必ず入れなければならない。
- 川柳は、5・7・5で構成されるが、季語は不要。風刺や世相を反映したものが多い。
和歌や短歌、俳句、川柳は、同音異義語の多い日本語ならではの言葉遊びかもしれません。
このような文化を持つ日本語の良さを、世界中の人にもっと知ってもらえるといいですね。