「せりふ」という言葉は、漢字で「台詞」あるいは「科白」と記します。
しかし、「台詞」も「科白」も通常の読み方では「せりふ」と読めないですし、そもそもどうして「せりふ」という言葉に2種類の書き方があるのかわかりません。
そこでこの記事では、漢字の意味までさかのぼると違いがわかりやすい「台詞」と「科白」の違いについて調べてみました。
台詞とは?
「台詞」とは、「舞台詞(ぶたいことば)」のことです。
演技ではなく、役者が発する言葉そのものを指します。
最近では、芝居を演じる役者の言葉だけではなく、アニメのキャラクターが発する言葉や漫画の吹き出しに書かれる言葉もすべて「台詞」に含まれるようです。
また、「台詞」は「決まり文句」という意味で使われる場合もあります。
例えば「そのセリフは聞き飽きた!」などという場合は、「台詞」を使います。
科白とは?
「科白」の「科」は、役者のしぐさを表す文字です。
そして「白」は、役者が言葉を発することを意味する文字です。
たしかに、「科」は常用外ですが「しな」「しぐさ」とも読むので、漢字本来の意味といえるでしょう。
また、「白」については、「自白」「告白」という言葉から「言う」という意味があることは明らかです。
このようなことから、「科白」とは、言葉+しぐさを表す言葉といえます。
台詞と科白の違い
「台詞」は、役者やアニメ・漫画などの登場人物が発する言葉です。
決まり文句という意味もあります。
一方「科白」は、言葉だけではなくしぐさも含めた言葉です。
なお、「せりふ」という言葉は江戸時代頃から使われるようになった比較的新しい言葉といわれています。
語源は諸説あり、「世流布(せるふ:世間に言葉を広める、という意味)」とも「競り言う(複数の人が競うように言葉を言う、という意味)」ともいわれていますが、はっきりしたことはわかっていません。
ただ、能や狂言などの世界から生まれた言葉とされています。
ちなみに「台詞」も「科白」も当て字です。
意味が同じような中国語を無理やり当てはめた結果、通常とは異なる読み方をすることになったのでしょう。
まとめ
- 台詞は、舞台詞。役者やアニメ・漫画のキャラクターなどが発する言葉のこと。決まり文句を指す場合もある。
- 科白は、言葉だけではなく役者のしぐさも含む言葉。
言葉を重視する場合は「台詞」、しぐさを重視する場合は「科白」と覚えておきましょう。
とはいえ、日常会話で「せりふ」という場合、しぐさまで含めることはほとんどありません。
迷う場合はとりあえず「台詞」としておけば、十中八九大丈夫です。