「皮膚」と「肌」。
どちらも人の体の表面を覆う「皮」の意味でよく使われる言葉ですよね。
ところでこの二つ、どのような違いがあって、使い分けはどのようにすればよいのでしょうか。
この記事では、ふだん無意識に使い分けていることが多い「皮膚」と「肌」の違いについてまとめました。
皮膚とは?
「皮膚」とは「動物の体を覆って保護している組織」です。
また、呼吸や知覚、体温調節の機能もあります。
なお、皮膚は人体最大の臓器で、成人の皮膚の面積は1.6㎡にもおよぶそうです。
「皮膚」は、日常会話でもよく使いますが、後述の「肌」に比べると学術的な場面で使われることが多いようです。
また、「皮膚」は、剥がれた表皮や死んだ人の表皮に対しても使うことがあります。
- 恐竜の皮膚の化石が見つかった。
- 爪のまわりの皮膚がむけてしまった状態を、ささくれという。
- 骨がほとんどなく、皮膚だけが残っているミイラもあるらしい。
肌とは?
「肌」には、「人の体の表面を覆っている皮」という意味のほか、「物の表面」「身体・肉体」「気質・気性」という意味があります。
1つ目の意味の場合、人の表皮に限定して使われることが多いです。
そして、表皮の性質や状態を表す際に使われることもあります(例「乾燥肌」「脂性肌」「敏感肌」など)。
「肌」は「皮膚」に比べると口語的な表現ですが、剥がれた表皮や死んだ人の表皮に対して使うことはほとんどありません。
- 花粉症の季節は、肌の調子も悪い気がする。
- 春になると、山肌が桜の花の色に染まる。
- 混浴で、見ず知らずの人に肌をさらすのはイヤだ。
- 彼女は、姉御肌だ。
皮膚と肌の違い
「皮膚」も「肌」も、動物の表面を覆う組織の意味で使うことが多いですが、「皮膚」は人間を含む動物一般に使い、剥がれた表皮や死んだ人の表皮にも使うことがあります。
一方「肌」は、主に人間に対して使いますが、山や木などの表面を表す際にも使います。
しかし、剥がれた表皮や死んだ人の表皮に使うことはほとんどありません。
なお、「動物の表面を覆う組織」という意味で使う場合、「皮膚」はより客観的な意味合いで使われ、「肌」は性質まで含むニュアンスで使われることが多いです。
まとめ
- 皮膚は、動物の体の表面を覆う組織。剥がれた表皮も、死んだ人の表皮も「皮膚」と表現できる。
- 肌は、人の体の表面を覆う組織。「物の表面」「身体・肉体」「気質・気性」の意味もある。
使い分けで迷うのは、人の表皮に使う場合でしょう。
剥がれているもの・死んだ人の表皮は「皮膚」、表皮の性質を重視する場合は「肌」を使うことが多いですが、それ以外はどちらでもよい場合が多いので、あまり悩まないようにしましょう。