基本的に丈夫で買いやすいとされるインコですが、滅多になくてもやっぱり健康関係のトラブルが起こることがあります。
多頭飼いの場合だと仲間同士のけんかで、手乗りの場合だとうっかり人間が踏んだりドアに挟まってしまったりというトラブルの可能性も高くなります。
骨折の中でも餌を食べられなくなるなど命の危険になり得るものが「くちばしが折れてしまう」ということです。
考えてもちょっと怖いことですが、実際に起こってしまったら飼い主としてはどうしたらいいのか調べてみました。
目次
インコがくちばしを怪我した時の対処法
まずは出血の確認をしましょう。
くちばしは神経ともつながり血液も通っている部分ですから、怪我により大量に出血する場合もあります。
出血している場合
圧迫止血できるなら圧迫止血、大量出血を確認したり圧迫止血できない場合はすぐに獣医に連絡を取る必要があります。
圧迫止血により血が止まった場合でも早急に獣医による診察が必要です。
24時間以内に病院に連れて行ってあげてください。
顔の近くからの出血ということで血まみれの顔になっているでしょう。
その姿を見れば飼い主自身もパニックになります。
飼い主が大騒ぎすればインコの不安も倍増しますから、しっかりと落ち着いて対処してください。
出血がない場合
くちばしの損傷が、
- 「先が少し欠ける」程度
- インコ自身が気にしている様子がなく餌も普通に食べられている
- 出血がない
と言う場合はしばらく様子をみるということでもいいでしょう。
人間の爪と同じように欠けた部分のくちばしは自然に伸びて元通りになる可能性が高いです。
あるいはインコ自身が調整することがあります。
カトルボーンやカルシウムブロック・ミネラルブロックなどインコが齧るものをいろいろと用意してあげてください。
ただし、「餌をきちんと食べているか」はしっかり確認してください。
インコは羽に覆われた身体ですから、餌が食べられなくて痩せてしまっても外見からはわかりません。
また、鳥は本能的に体調が悪いことを隠す習性があります。
「欠けた部分をカットする」とか「応急処置として接着剤でくっつける」という方法もありますが、慣れていないととても危険です。
怖がっているインコをつかんで刃物を使うことでくちばしの損傷をひどくしてしまう可能性もあります。
接着剤は鳥にとって有害です。
ですからくちばしが折れるような大きな怪我の場合、飼い主さんには安易に「自分でなんとかしよう」とせずに愛鳥を動物病院に連れていくことをお願いします。
くちばしを怪我してそれまでに食べていた餌が食べにくい・食べられないという場合の代替え食品として、
- ヒナ用の差し餌
- ふやかしたペレット
- むき餌
- マッシュドポテトやすりおろした野菜や果物
- オーガニックの人間用のベビーフード
などを使うことができます。
けれどもあくまでも緊急処置ですから、早いうちに動物病院での栄養相談を受けてください。
インコがくちばしを怪我しないための対策
複数のインコを飼っている場合は仲間同士のケンカに気を付けてください。
仲の悪いインコ同士は、
- ケージを分けて別居させる(ケージの位置も離す・ケージ越しにケンカすることを防ぐため)
- 同時に放鳥しない
などの配慮が大切です。
大きさの違うインコや他のペットを飼っている場合は、身体の大きな方が小さい方にいたずらしたりしないように気を付けましょう。
新しい齧るタイプのおもちゃを与えた場合、くちばしを損傷していないか注意してください。
放鳥時やケージが窓のそばにある、などの場合は窓にカーテンをかけるなどして、外を通る鳥や人などにインコが驚いて暴れたりしないようにしましょう。
暴れて飛び回って壁などに衝突することを防ぎます。
普段からカトルボーンやカルシウムブロック・ミネラルブロック、ボレー粉などを与えてください。
インコのくちばしが伸びすぎないための対策
伸びすぎたくちばしも折れやすい原因になりますから「伸びすぎないようにするため」の対策も必要になります。
齧るおもちゃを与える
インコは齧ってくちばしを短くしているわけではありません。
齧るおもちゃはくちばしを積極的に使うことで伸びすぎを防ぐ効果を狙う意味があります。
日光浴をさせる
日光浴はビタミンDの形成のために必要です。
不足するとくちばしや骨格そのものについても悪影響がでます。
栄養バランスのいい食事を与える
新鮮な野菜や果物は必須です。
その他のくちばしに関する病気
くちばし特有の病気、というよりはその病気にかかることにより、くちばしの色が変わったりくちばしに変形がみられるなどの症状が出るものがあります。
毎日愛鳥の様子をよく観察してあげてください。
チアノーゼ・化膿性副鼻腔炎
くちばしの中には血管が通っているため、これらの病気にかかることで血行が悪くなってくちばしの色が薄くなったり青白くなったりすることがあります。
くちばしの色はインコの種類によって様々ですが、「いつもと違う色」になっていたら病気のサインかもしれません。
黒っぽい斑点が出ている
どこかにぶつけて打撲になっている場合は、日がたてば自然に消えています。
特に暴れてぶつけた様子もないのに斑点が出ている場合は、肝障害やビタミンKが不足しているのを疑ったほうがいいかもしれません。
PBFDに感染している
大型インコのヨウムや白色系のオウムなどくちばしが黒い鳥の場合、この病気に感染すると脂粉の量が減るためにくちばしの色が黒光りして見えることがあります。
この病気は現在発症すると致死率が高く、予防ワクチンなどもない大変怖いものです。
けれども早い段階で発見すると病気の進行を抑えることができる・他の鳥への感染を防ぐことができるものでもあります。
くちばしに白くて粉っぽいものがついてカサカサしている様子が見られる
トリヒセンダニに感染することによる疥癬症にかかっている可能性が考えられます。
インコのくちばしは繊細なのでプロに任せましょう
- インコのくちばしが折れたらまずは出血の確認・止血をする。
- できるだけ早いうちに(24時間以内)に獣医の診察を受ける。
- くちばしの損傷はほとんどなく、インコ自身が気にしていなければ様子を見ることも可能。餌を食べているかの確認は欠かさないこと。
くちばしの怪我を防ぐ対策は、
- 仲の悪いインコ同士は別居させる・放鳥を別々にする。
- 身体の大きさの違うインコ・種類の違うペットがいたずらしないように気を付ける。
- 齧るおもちゃを与えた場合はくちばしを損傷していないかチェックする。
- 窓にカーテンを掛けるなどしてインコが驚いて壁に激突したりすることを防ぐ。
- くちばしの伸びすぎを防ぐ対策をとる。
くちばしには色が変わる・変形するなどして病気にかかったことを示すサインがあらわれることが多いので、日ごろの観察を欠かさないこと。
インコのくちばしが伸びることを防ぐ話をすると、「くちばしは爪と同じだから飼い主がカットすればいい」とする意見を聞くことがあります。
インコのくちばしには血管と神経が通っていますから、下手に傷をつけると痛みを感じますし大量に出血もします。
くちばしを傷つけることにより餌が食べられなくなったり、愛鳥自身に大きなストレスがかかって食欲がなくなるということもあるのです。
お世話の時に咬まれたりすることもあって「くちばしをなんとかしたい」と思う人もいるかもしれませんが、くちばしは鳥にとって敏感な部分でもあります。
必ず獣医・鳥専門店のスタッフで鳥のグルーミングができる人などプロにお任せしてください。