糞の観察はインコの健康状態を知るのに欠かせません。
色や形、臭いは病気が隠れていないかをチェックする大事なポイントです。
その中でもこの記事では「下痢」の症状についてまとめます。
どんな原因があり、どう対処したらよいのか、参考にしていただけると嬉しいです。
目次
まずは下痢なのか多尿なのかを見分けましょう
インコは水のような糞(=多尿)をすることが多々あります。
ですので、そもそもインコが下痢をしているのか、それとも多尿なのかを見分ける必要があります。
下痢には以下のような特徴があります。
- 便(糞の黒っぽい部分)が柔らかく、形状が崩れている。
- くさい、ねばねばする。
- インコのおしりが汚れている。
一方、便の形が崩れておらず、おしりも水分でぬれているだけなら、多尿の可能性が高いと判断できます。
多尿は、水分の取りすぎが原因で、病気ではなく心配しなくてもよいケースであることの方が多いです。
ケージの底が水浸しになっていると、慌てて下痢だと判断してしまうかもしれませんが、動物病院に下痢だと思って受診したケースの多くは多尿の症状のようです。
落ち着いて、インコの様子や糞の状態を確認しましょう。
インコの下痢の原因
ここからはインコの下痢の原因について説明します。
インコの下痢は、胃腸炎、胃がん、中毒症、腹膜炎、感染症といった病気の症状です。
一刻を争う病気が考えられるので、早急に病院に連れて行きましょう。
胃腸炎(感染症のうち、胃腸炎を引き起こすもの)
- メガバクテリア症…メガバクテリア(真菌の一種)が主に胃に感染する。飼い鳥のほとんどが保有しているが、免疫力で抑えている。免疫力や体力の低下により発症する。
- カンジダ症…カンジタ(真菌の一種)が主に消化管に感染する。飼い鳥の8割が保有しているが、免疫力で抑えている。ストレスやビタミンA不足が原因で発症することがある。
- 細菌性腸炎…細菌感染によって腸の粘膜に炎症を起こす。
- トリコモナス症…トリコモナス原虫に感染。感染している親鳥から感染する。
- ジアルジア症…ジアルジアという寄生虫が腸に寄生する。免疫力の低下が原因となる。
- ヘキサミタ症…ヘキサミタという寄生虫が腸に寄生する。感染した鳥から感染する。
胃がん
慢性的な胃炎の末に胃がんを発症するケースが多い。
中毒症
鉛を摂取することにより発症する。カーテンウェイト、メッキ塗装してあるものなどが原因となる。
腹膜炎
卵性腹膜炎…卵が卵管の外(腹腔内)に出てしまう病気。過剰な発情が原因となることもある。
その他感染症
- サーコウイルス症…サーコウイルスに感染。感染している鳥との接触が原因となる。
- ポリオーマウイルス症…ポリオーマウイルスに感染。感染している鳥との接触が原因となる。
- クラミジア症(オウム症)…クラミジアの感染により発症。寒さやストレスが原因となることがある。
このような下痢を症状とする病気を見てみると、いずれも、ストレスや飼育環境により、免疫力が落ちたときに病気を発症すると分かります。
また、鉛中毒は部屋の身近なところにインコにとって危険なものがあることも分かります。
インコの下痢の対処法
下痢の症状は、病気が比較的進行してからの症状である場合があります。
また、体内の水分が下痢として排出されてしまうので、脱水症状を引き起こしかねません。
ですので、インコが下痢をしていたら、なるべく早く信頼できる動物病院に連れて行きましょう。
抗生物質、抗真菌剤、抗原虫薬を投与して治療します。
病院に連れて行くまでにしなければいけないことは、少なくとも2つあります。
インコの症状を把握する
いつから、どのような下痢をしているのか、また食欲やインコの状態を記録し整理します。
インコの糞をお医者さんに見せた方がよいという意見もあります。
その場合は、写真に撮ったり、当日の移動用キャリーケースに出た分を見せたりすることができます。
インコを看病用環境にうつす
病鳥は体温を維持することができないので、30~35度に保温します。
食欲が出るようにライトを常時点灯します。
複数羽インコを飼っているなら、他のインコに移さないよう、下痢をしているインコを直ちに隔離しましょう。
プラケースなどに隔離することができます。
インコをよく観察して健康管理を
- インコの下痢は、重い病気のサイン。直ちに病院に連れて行こう。
- 病院に連れて行く前は、下痢の状態を把握し、看病用の環境に隔離しよう。
人間の下痢は、軽い症状であることもありますが、インコの場合は体が小さい分、重篤な症状であることが多いです。
毎日の掃除の中で糞をよく観察して、インコの健康を管理してあげましょう。