インコはもともと群れで暮らす生き物です。
仲間同士のコミュニケーションは主として様々な鳴き声によって行われます。
インコと暮らしていると彼らが実に様々な「鳴き声」を持っていることに驚くこともあるでしょう。
それらの鳴き声にはそれぞれ意味があります。
この記事では、インコとのコミュニケーション入門として、インコの鳴き声の意味をいくつかご紹介しましょう。
目次
インコが鳴くのはどんな時?
インコは鳴き声でコミュニケーションをとる生き物なので、一日のうちで黙っていることはほとんどないとも言えます。
極端に言えば、寝ているときと水浴びをしているときくらいしかインコの声がしない時はない、と言えるかもしれません。
その気になればご飯を食べているときだって何か声を立てていることもあります。
退屈している
野生の鳥達は一日のほとんどを餌を探すことに費やしています。
退屈するヒマはないのですが、飼い鳥となったインコは餌を探す必要がありません。
余った時間を持て余してヒマになりますから、遊びのひとつとして大きな声で鳴いてみたりすることがあるのです。
退屈は精神的にもよくありません。
インコ専用のおもちゃをケージに入れてあげてください。
インコのおもちゃについてはこちらの記事も参考にしていただければ幸いです。
飼い主を呼んでいる
いわゆる「呼び鳴き」と言われる状態です。
もともと群れで暮らす習性のインコは独りぼっちが大嫌いです。
そばに誰もいないと不安になって「誰か来て」という意味で大きな声で鳴き始めます。
頭のいい鳥ですから、群れの仲間(この場合は飼い主や他の家族)がお出かけの支度をしているのを見るだけで叫び始めることもあります。
「置いていかないで。一人にしないで」という意味でいじらしいですが、騒音問題になったりしないうちに対策をとる必要があります。
大きな鳴き声の対処法としてはこちらの記事をご覧ください。
餌がないことを知らせている
お腹が空いているのに食べるものがないという時にも「何かちょうだいよ」と言う意味で鳴くことがあります。
この時はちょっと覗いてみるだけではなくて、ケージから餌入れを取り出してきちんと内容物を確認してください。
人間の見た目では「なんだ、まだいっぱい入っているじゃないか」と思っても当のインコからすると「食べられるものがない」ということがあります。
特にシード系の食べ物を主食として与えている場合は要注意。
容器の中がいっぱいに見えても実はカラだけで中身がない、ということがあります。
必ず容器に入っている餌を確認しましょう。
ペレット食の場合も、かみ砕かれて粉々になっているものはインコは好みませんから、必ず容器を確認してください。
運動量が足りない
放鳥時間が十分に取れていなかったりでインコのエネルギーが有り余っている状態です。
ケージから出た時に一緒に十分に遊んであげたり・普段からおもちゃを与えて十分に遊べる環境を作ってあげてください。
放鳥に関してはこちらの記事も参考にしてください。
また、水浴びをする・外で日光浴をするなどもインコにとってはいい刺激になってエネルギーの発散になります。
ごくたまに幼いヒナのころから人間が差し餌をして育てた鳥の場合、そばにお手本となる大人の鳥がいないせいか、びしょびしょのままで遊んでいたりする鳥がいます。
風邪をひいたら大変ですから、暖かい部屋に移動させるかドライヤーを使う・温風ヒーターを使うなどして乾かしてあげましょう。
また、インコにとってドライヤーはとても魅力的な面白いおもちゃと見なされることがあるので、「ちょっと貸して。齧らせて。」と飛び掛かってくる子もいますから使用の際には用心しましょう。
中型以上のサイズのインコの場合はドライヤーをうっかり渡すと完全に壊されます。
水浴びのやり方についてはこちらの記事でも詳しく解説しているので、是非参考にしてください。
日光浴をさせる場合は必ずそばに人間が付き添ってカラスや猫に襲われたりしないようにしてください。
ケージの一部に毛布などで影をつくり、必要ならインコが隠れたり日蔭で休んだりできるようにすることも必要です。
インコにとって何か怖いものを見つけた
窓の外をカラスや猫などの天敵が通った場合に大きな声で鳴くことがあります。
このような「警報」がインコから出たら必ずケージの周りなどを確認しましょう。
カラスが外を飛んでいた、などくらいは害がありませんが、実際に窓が開いていて猫や蛇といったインコにとって命に係わる天敵がいないとも限りません。
インコの鳴き声の意味
鳴き声の解釈はひとつではありません。
同じ鳴き方についても何通りもの解説があったりします。
人間側の聞こえ方も個人によって違ってくることもあるでしょう。
同じように聞こえても鳴き方・声の大きさ・羽毛の様子(逆立てているなど)・目の表情(点目になっている)で判断が変わることもあります。
毎日インコを観察していれば自然にわかってきますから、あまり不安に思わずにインコの様子を見てみましょう。
グーグー
唸り声のような声です。
- 甘えている
- 怒っている(拗ねている)
2説があり、どちらも正しいと言えます。
頭を掻いてもらっているときにグーグーということもあれば、ちょっと独りぼっちにされたり呼んでいるのになかなかそばに来てくれなかったりというときにグーグーと鳴くこともあります。
拗ねているときのグーグーはまるでインコ以外の動物じゃないかと思うくらいですが、本格的な威嚇というよりは不満を訴えてるという程度です。
キュー
甘えています。
ケージの中から必死に遊んで、構ってと訴えているのにあんまりしっかり相手にされなかったときなど、いかにも「失望した~」というようにキュ~と鳴くことがあります。
いかにもがっかり、という声なので飼い主としては面白いですが、あまりがっかりさせすぎるとインコからのコミュニケーションが途絶えてしまいます。
時間のある時なら十分に相手になってあげましょう。
ギャーギャー
「ギャギャギャギャ」とか「ギャッギャッギャッ」というように鳴くこともあります。
何か危険や異常を察知してみんなに知らせています。
鳴きながらケージの中を暴れまわったりすることもあり、ケガの原因にもなることです。
放鳥中の場合は急に飛び立ったりしますから、窓の隙間から外に出てしまったりという事故の元にもなります。
たいていの場合はインコが一番安全な場所と認識しているケージに戻ったりしていますが、部屋の中で一番高いところ(カーテンレールの上・本棚の上)などに止まっていることもあります。
この鳴き声を出すときはインコもパニックになっていますから、どこかに止まろうとして足を踏み外して落ちる、という事故も起こりやすいです。
本棚の後ろ・テレビの後ろなども落ちてしまいやすい場所です。
キュッキュッ
機嫌がよくてご機嫌です。
ちょっと興奮気味に夢中で何かをしている時などによくこのように鳴きます。
手乗りで人間によく慣れた子ならちょっと甘えたいモードに入っているのかもしれません。
そばによってきて頭を下げるようにして「ちょっと掻いてよ」とおねだりするような行動も見られます。
ジージー
もどかしい・じれったいと思っているときの鳴き声です。
一生懸命アピールしているのに注目してくれない、というときに「ジー」と強い声で鳴きます。
点目(黒目が小さく絞られている状態)になっていることもありますが、この場合は何かすごく興味のあるものや人を見ているときです。
キュルキュル
仲間同士コミュニケーションをとるときの鳴き声です。
こちらが知らん顔していてもずっとキュルキュル鳴いていることもあるので、適当に話しかけてあげると喜ばれます。
カチカチ
クチバシを鋭く鳴らしています。
パチパチパチと聞こえることもあります。
これはインコがとても怒っている状態です。
本格的な威嚇の状態です。
下手に手を出すと咬まれたり飛び掛かられたりしますからそっとしておきましょう。
面白がって人間側がまねをしたり・ケージを叩いたりして驚かすと怒りの火に油を注ぐことになったりインコとの信頼関係が壊れてしまったりすることもあります。
人間側がしつこく構ったりしてこのカチカチがインコから出たらすぐに構うのをやめましょう。
インコの怒りはそれほど長く続くものではありませんが、「嫌なことをされた」という記憶は長く持っています。
嫌われないようにするためにもカチカチパチパチという威嚇が出たら、速やかに退散しましょう。
鳴き声を理解してコミュニケーションを取ろう
- インコは群れで暮らす生き物なので日中のほとんど何かしら鳴いている
- それぞれの鳴き声には意味があり、鳴く原因がある
- 同じ鳴き声についてもいろんな解説があるが、どれが正解・間違いということはない
- 鳴き方は全く同じではなく、それぞれのインコで少しずつ変化がみられるものである
- 同じ鳴き方でも人間側の聞こえ方は人それぞれ、焦らず愛鳥を観察すれば必ずわかってくるもの
インコは感情豊かな生き物なので、鳴き声でいろんなことを飼い主さんに伝えてきます。
鳥と暮らすことが初めての人は特に戸惑うことも多いかもしれません。
「うるさく騒いでる」と負担に思うことも出てくるかもしれませんが、インコにとっては鳴き声がコミュニケーションの手段です。
「インコのほうから何か伝えようと努力してくれているのだ」と思えば人間側もきちんと応えてあげよう、と思えるのではないでしょうか。
こちら側が彼らの鳴き声の意味を察して反応して・それが大正解だとインコからの信頼度もぐっと上がります。
可愛いインコとの快適な生活とお互いの幸せのためにぜひ彼らの言葉(鳴き声)を学習してくださいね。